「この数字から考えると、そういう結論になりますが、日本では、安倍政権の緊急事態宣言で新型コロナが収束してきているので、都市閉鎖が効果がないということはないと思います。」
「他のヨーロッパ人よりスウェーデン人の方が頭がいいということですか」と町会長。
「同じヨーロッパ人なので、そういうこともないと思います。」
「それはそうですよね」と町会長。
「スウェーデン人の死者数が、イタリアやイギリス、フランスなどと比べて、少ないのは2つ理由があると推定しています。」
「やはり、理由があるのですか」と町会長。
「理由の1つは、イタリアやフランス、ドイツの国別の感染マップを見れば、一目で分かります。」
「国別の感染マップと言いますと?」と町会長。
「例えば、イタリアの国内では感染がどのように広がっているかということが分かる地図上の円グラフです。」
「イタリアの国内での感染の広がりが分かるように、地図上に感染者の人数を示す大きい円とか小さい円が都市別に書かれているようなものですか」と町会長。
「おっしゃる通りです。」
「国別の感染マップを見ると何が分かるのですか」と町会長。
「どの国もヨーロッパアルプスに近いところに大きな丸があり、ヨーロッパアルプスから離れると小さくなります。」
「それは不思議ですね」と町会長。
「そうなんですよ。でも、これはすぐ分かりました。武漢にはリッチな中級スキーヤーが多いと推定しています。」
「武漢のスキーヤーからヨーロッパに感染が広がったと推定しているのですか」と町会長。
「おっしゃる通りです。」
「でも、なぜ中級スキーヤーなのですか」と町会長。
「マッターホルンですよ。」
「アルプス山脈に属する標高4,478mの山ですね」と町会長。
「おっしゃる通りです。マッターホルンでスキーをするには、スイス最高峰のふもとに広がる、標高1,620mのマッタータル溪谷の最上流部に位置するツエルマットに泊まります。」
「武漢から来たスキーヤーもツエルマットに泊まったのですね」と町会長。
「おっしゃる通りです。マッターホルンでスキーをするのであれば、他に方法はないと思います。」
「なぜ武漢から来たスキーヤーは中級レベルなのですか」と町会長。
「マッターホルンで滑りたいスキーヤーは、展望台のある標高3,883メートルのグレイシャー・パラダイスから、イタリアのチェルビニアまで35キロの長距離コースを滑り降りたいのです。」
「35キロもあるのですか」と町会長。
「おっしゃる通りです。国境を越えるので、パスポートを持っていきます。」
「スキーコースに検問所があるのですか」と町会長。
「検問所はありませんが、イタリアからツエルマットに戻るときに、登山電車を使って帰るので、パスポートを持っていきます。」
「ところで、武漢から来たスキーヤーは、なぜ中級レベルなのですか」と町会長。
「中級レベルのスキーヤーは、長距離コースを滑りたいのです。武漢のリッチなスキーヤーは、世界で最も長いグレイシャー・パラダイスからイタリアのチェルビニアまでのコースを滑りたいのです。」
「上級スキーヤーは、そのコースを滑らないのですか」と町会長。
「調べたわけではありませんが、上級レベルのスキーヤーにはコースが単調すぎると思います。」
「なるほど」と町会長。
2020/5/29
<ムクドリ23>
雀のひなは、元気な声でピヨピヨと鳴いていた。『お腹が空いているんだな』と思った。脚立を戸袋に立て掛けて上り、戸袋の上部に打ってある釘からネットを外し、タッカーで止めたところはネットを引っぱって外した。巣立ちする直前なので、夜が明ければ、戸袋の下の穴から逃げるに違いないと思った。
翌朝、6時頃、戸袋に行ってみると、ピヨピヨと鳴く声はしなかった。10中8,9逃げたに違いないが、戸袋の中が見えないので、逃げた確率が100パーセントとは言えないとも思った。それで、昼近くに、もう1度見に行った。
やはり、ピヨピヨと鳴く声はしなかった。ふと、南側に目をやると、小道の向こうにある柿の木に茶色ぽい鳥が止まって、こちらを見ていた。小鳥に目を向けると、体を横にして、羽をいっぱいに広げながら飛び立った。
鳥は、ひな鳥が中にまだいるので、柿の木に止まって見張っていたのか、それとも、僕が昼頃ここに来ると推定して、どういう人間か確認しようとしていたのか、どちらなのだろうという疑問を持った。<続く>
2023/5/12
